政治学史

政治学史は政治学の歴史を指し示す用語であり、また政治学の理論の変遷、学説の歴史及びその歴史的背景を対象とする、政治学の一分野です。政治学の諸分野でも特に政治哲学・政治思想の歴史を扱う場合は、政治思想史とも呼ばれます。

現代政治学の展開 - 制度の再発見:新制度論

1950年代以降主流となった政治学におけるアプローチは、行動科学政治学にせよ合理的選択理論にせよ、個々のアクターに焦点を当てるものであった。従って分析単位として政治制度が取り上げられることは少なく、本来アクターの行動の場となるべき制度は軽視さ…

現代政治学の展開 - 合理的選択理論

1950年代以降、行動科学政治学か主流となる一方で経済学の方法論を政治学に導入することを端緒として、これまでとはまったく異なるアプローチが登場した。それらを総称して合理的選択理論と呼ぶ。合理的選択理論に共通する特徴は、ミクロ経済学のいくつかの…

現代政治学の展開 - 脱行動科学の動き

かくして政治学における主流派の地位を占めるに至った行動科学政治学だが、1960年代には様々な角度から批判されるようになる。さらに行動科学政治学側でも、それらの批判をうけて脱行動科学の方向を模索し始めた。既に1940年代・50年代から行動科学政治学と…

現代政治学の展開 - 行動科学政治学

1950年代に入ると、シカゴ学派の研究を基礎として、政治学は新しい局面を迎えた。行動科学的アプローチという新しい手法が導入され、「行動科学革命(行動論革命、behavioralist revolution)」と呼ばれるほどのインパクトを与えた。行動科学政治学の先駆は194…

現代政治学の成立

◯先駆イギリスでは19世紀末から20世紀初頭にかけて、工業化と都市への人口集中が進み、労使の階級対立やマスコミの発展により政治状況が急速に変化した。このような状況を受けて1867年と84年の選挙法改正が行われ、労働者階級に広汎な選挙権が与えられたにも…

近代伝統的政治学

近代的な政治学理論はドイツにおいて国家学という形で発達し、そこでは政治社会は国家として捉えられた。19世紀のイギリス・アメリカでは、功利主義・フランス実証主義・国家学の影響を受けて多元的国家論が唱えられ、国家と社会を区別し、両者を包含する形…

近世政治思想

◯イギリス功利主義とフランス実証主義19世紀のフランスでは進歩史観に基づき、フランス実証主義が成立した。これは秩序・進歩・友愛によって人間知性が進化していると述べたコントを代表とする、社会を肯定的に見るものであった。一方イギリスでは、古典派経…

中世国家と政治理論

中世国家の特質としては、地域国家であることが挙げられる。中世国家を支配する国王のもとには国境も国土も国民も存在せず、その支配は契約関係に依拠するのであり、なおかつその契約関係は流動的であった。次に国王だけでなく領主も軍事力を持っており、こ…

初期のキリスト教と政治理論

イエスの死が神の自己犠牲であり、その前提として人間の原罪を設定することによって成立したキリスト教は、政治社会に特徴的な関わりをもった。キリスト教の特徴としては、まず古典古代のギリシャ・ローマの人間観が基本的に能力の調和的発展を理想としてい…

古典古代(ギリシャ・ローマ)

古代のギリシャやローマ(古典古代)においては、ポリス(polis)やキウィタス(civitas)という特異な政治社会が形成されていた。ポリスやキウィタスを当時のそれ以外の政治社会と区別する特徴としては、スパルタのリュクルゴスやアテナイのソロン、ローマにおけ…