政治学史

政治学史は政治学の歴史を指し示す用語であり、また政治学の理論の変遷、学説の歴史及びその歴史的背景を対象とする、政治学の一分野です。政治学の諸分野でも特に政治哲学・政治思想の歴史を扱う場合は、政治思想史とも呼ばれます。

現代政治学の成立

◯先駆
イギリスでは19世紀末から20世紀初頭にかけて、工業化と都市への人口集中が進み、労使の階級対立やマスコミの発展により政治状況が急速に変化した。このような状況を受けて1867年と84年の選挙法改正が行われ、労働者階級に広汎な選挙権が与えられたにもかかわらず、労働者の議会進出は緩慢であった。選挙権の拡大に伴って投票率は低下し、政治腐敗や政治的無関心が蔓延し、候補者の当落は政治的業績や理念よりも容貌や演説の巧みさ、広報活動や運動のテクニックに影響されるようになった。ウォーラスは、民主主義が制度として確立されているのにもかかわらず、実際の状況がこのように民主主義の本質とはかけ離れていることを危惧し、1908年現代政治学の先駆的著作『政治における人間性』を発表した。同年、アメリカの社会学ベントレーは、当時アメリカで流行していた制度論的政治学を「死せる政治学」(Dead Political Sciences)と批判し、『統治の過程』を発表した。彼は、政治とは利益を巡って形成される党派間対立と、統治機構によるその調整過程であると述べて、制度的研究よりも党派と政治の過程を重視すべしと述べた。しかし、ベントレーの主張は政治学界では当初あまり重視されず、むしろ当時個別の学問として発展し始めた社会学に影響を与えるものだった。

シカゴ学派
ウォーラスの研究に依拠しつつ、心理学や政治的多元主義の影響を受け、1920年代末にシカゴ大学のメリアムとラスウェルを代表とするシカゴ学派が形成された。メリアムは経験的研究では成果をほとんど挙げることはなかったが、問題提起と後進の育成に努力し、彼の周辺では政治学の基本的目標と方法について活発な議論が行われた。メリアムは1925年に『政治学の新しい視角』を発表し、政治学の研究方法に心理学と統計学の導入を訴えた。メリアムを創始者とするシカゴ学派の目的は、政治学の科学化であった。

 

参照元ウィキペディア政治学史